飯綱町は全国でも有数のりんごの産地ですが、店頭に並んでいるりんごを見ると、ほかの産地とは違う“飯綱町らしさ”に気付きます。
それは、時期によってさまざまな国内では希少な海外原産のりんごが並んでいることです。
なかには生食に適さないものもあるので、生果品ではなく、ジュースやジャム、シードルなどに加工されている場合もありますが、数多くの海外品種に出合うことができます。
町内の農産物直売所に足を運ぶと、それまで見たことも聞いたこともない海外品種を目にして驚く方も多いのではないでしょうか。
海外品種いろいろ
飯綱町で海外品種が栽培されるようになったのは、1980年代末に英国王立園芸協会から当地の品種を譲渡されたことがきっかけだそうです。
多くの海外品種の特徴は、日本原産のものより酸味が強く、調理・加工に向いており、ビタミンCが多いことです。
ここで、町内で生産されている海外品種をいくつか紹介します。
「ブラムリーズ・シードリング」
イギリス原産で、英国王立園芸協会由来の品種です。
8月下旬頃~9月上旬頃に収穫されるので、飯綱町のりんごのシーズン到来を告げてくれるりんごです。
酸味がとても強く、イギリスでは、料理やお菓子によく用いられるため「クッキングアップルの王様」と言われています。
ジャムやパイといったお菓子だけでなく、肉類の煮込み料理のお供や付け合わせにもピッタリです。
ただ、「フルーツは甘いものより酸っぱいもののほうが好き」という方には生食もおすすめです。
「クセになる」という声をよく聞きます。
「ベル・ド・ボスクープ」
梨のような見た目をしていますが、りんごです。
1856年にオランダのボスクープ市で発見された、オランダ原産の品種です。
現在も北ヨーロッパを中心に世界で広く親しまれています。
9月下旬~10月上旬に収穫されます。
風味に富んでいて香りも良く、加熱しても煮崩れしないので、ケーキやマフィンにするのがおすすめ。
「ブレンハイム・オレンジ」
名前を聞くと一瞬戸惑いますが、こちらもれっきとしたりんごです。
イギリス原産で、1740年頃にブレンハイム城近くで発見されました。
アメリカやオーストラリアでも栽培されています。
9月中旬~10月上旬に収穫されます。
熟期になると、緑色の果皮の一部にオレンジ色が入ります。
独特な甘みとナッツの風味があり、焼きりんごやピューレがおすすめ。
チーズにも合います。
「グラニー・スミス」
海外品種のなかでも特におすすめなのが、グラニー・スミスです。
1868年にオーストラリアでマリア・アン・スミスさんがりんごの捨て場で偶然育った幼木を見出して、育成したことから、この名が付きました。
世界的にはとてもポピュラーで青りんごの代表格。
国内ではあまり栽培されていませんが、町内には比較的広く栽培する農家が多数あります。
11月中旬~下旬に、サンふじやシナノゴールドとともに店頭に並びます。
鮮やかな緑色が特徴で、サクサクとした食感と爽やかな酸味、ジューシーさを併せ持ち、生食にも調理用にも適しており、比較的保存性もあります。
紅玉や秋映、王林が好きという方には特に試してもらいたい海外品種です。
グラニー・スミスを調理してみましょう
りんごにこれだけたくさんの品種があるように、それぞれの特徴を生かした食べ方(調理法)があります。
初めて英国りんごを試す方には、そのまま生食でも、加工してもおいしいグラニー・スミスがおすすめ。
簡単にできる一品をご紹介します。
◎グラニー・スミスの焼きりんご
洗ったグラニー・スミスを丸ごとアルミホイルで包み、トースターで焼くだけ。
*りんご専用の芯抜きなどで先に芯を抜いておくと食べやすいです。
*お好みでバニラアイスを添えてもおしゃれ。
紅茶を片手に「グラニー・スミスの焼きりんご」なんて、優雅なティータイムが楽しめる気がしませんか?
◎グラニー・スミスのサラダ
白菜や水菜などの葉物野菜とグラニー・スミスを一口大に刻んで、市販のマヨネーズやゴマドレッシング、シンプルに酢とオリーブオイルで和えるだけ。
いつもとはちょっと違うおしゃれなサラダが出来上がります。
グラニー・スミスをはじめ、海外品種のりんごは、りんご=生食という固定観念を破ってくれ、私たちの食の世界を広げてくれます。
ぜひ、自分なりの食べ方を探してみてください。