なぜこんなに美味しいの?飯綱町のリンゴの秘密

なぜこんなに美味しいの?飯綱町のリンゴの秘密

飯綱町のりんごは、他のりんごとはひと味違う美味しさと言われているとかいないとか。
今回は、飯綱町のりんごの美味しさの秘密に迫ります。

りんご栽培に適した土地

世界中で古くから愛されている果物、リンゴ。日本国内における生産量は、1位が青森県、長野県は2位で、次いで岩手県や山形県、福島県、秋田県と、冷涼な地域が並びます。
九州や四国、東京などでも栽培は可能であるものの、病害虫からの防御という点からも寒冷地が適しているそうです。

長野県飯綱町は、新潟県にほど近い県北部に位置し、標高はおよそ500〜700メートル。
年間を通して降水量が少なく、春から秋にかけての日照時間が長い地域です。年間の平均気温は10.9度(平成22年度 飯綱町観測資料より)。夏は30度以上になりますが、冬はマイナス10度まで下がる日も。
町内で生産されるリンゴは国内生産量の約1%、収穫量約1万トンを担っています(農林水産省ホームページ(http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_kazyu/index.html)参照、市町村別生産量は平成18年の最新データより)。
古くから高品質なリンゴの名産地として、その名を馳せてきました。
トマトが水分制御により甘く育つように、昼夜の寒暖差が大きい厳しい環境が、リンゴを美味しく育てるのです。

町内の地域によって違う特徴

三水(さみず)エリア

町の中央を流れる鳥居川より北東の三水(さみず)エリアは、平坦な土地を利用した農村地帯で、北信五岳と呼ばれる山々を背景にリンゴ畑が広がります。
全国有数の産地の中でも「三水のリンゴは味がいい」と定評があり、味が濃く、甘味と酸味のバランスの良いリンゴが育つとされています。

牟礼(むれ)エリア

鳥居川より南西の牟礼(むれ)エリアは、飯縄山の裾野に続く丘陵地で三水エリアよりも標高が高く、リンゴ生産の北限ともいわれます。
厳しい環境下で育つことにより、果肉をかじるとカリッと音がするほど、しっかりと実が引き締まっているのが特徴です。
古くなってやわらかくなったリンゴは、長野県の人たちは「ボケる」と表現しますが、日数が経ってもシャキシャキして硬いことから、第22次南極観測隊のデザートに、牟礼エリア産のフジが選ばれたという記録があります。

飯綱町とリンゴの歴史

では、飯綱町とリンゴの歴史はいつからなのでしょうか。
リンゴには、和リンゴと西洋リンゴがあります。和リンゴは、平安時代ごろに中国から伝わった小さな野生種で、仏前のお供えや飾りなどにも用いられていました。
後に西洋リンゴが入ってくると、栽培されることがほとんどなくなってしまったのですが、飯綱町では和リンゴが現在でも栽培されています。その名も「高坂りんご」。町の天然記念物に指定されています。

高坂りんごについては、また別途ご紹介しますが、飯綱町で最初に西洋リンゴが栽培されたのは明治時代中期といわれています。
明治から大正時代における飯綱町の主要産業は養蚕でした。当時はまだ新しい作物と珍しがられた程度だったようです。
後期になって少しずつ栽培する農家が広がり、昭和初期に養蚕業が衰退していくにつれリンゴ栽培へと移行。飯綱町果樹栽培のパイオニアとされる富岡助右衛門氏が本格的な多角的果樹園を開始するとともに、拡大していったといわれています。
そして、昭和40年代には旧三水村のリンゴが全国生産量の約1%を達成。「日本一のりんご村」とその名を馳せるようになるのです。

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