長野県のリンゴと青森のリンゴ
長野県は、青森県に次いでリンゴの出荷量は全国2位。青森県が約6割(約40万トン)、長野県が約2割(約13万トン)※と、両県で国内生産の8割を占める2大産地です。とはいえ、青森は長野の約3倍と圧倒的な出荷量があります。(※参考:農林水産省統計部『果樹生産出荷統計』より平成30年産リンゴ)
長野県民は、かつての地域の名称である「信州」「信濃」という呼び方に愛着を持っており、しばしば使われています。県内で生まれたオリジナルのリンゴも、名前にシナノ……とつけているほどです。なので、ここでは長野県のリンゴは、信州リンゴと明記いたします。また、リンゴの名前は登録商標となっている品種も多く、それだけこだわりが感じられます。
さて、青森リンゴと信州リンゴはしばしば比較されますが、関東圏ではあまり信州リンゴは知られておらず、リンゴといえば青森というイメージが強くあるのではないでしょうか。それは、かつての流通網では、主に青森リンゴは関東から中部、信州リンゴは信越と関西、九州方面へ出荷されていたからと聞きます。しかし最近は直販の農家等も増え、関東圏でも信州リンゴが流通し、認知度も上がってきています。
味の違いという点では、青森リンゴは甘味と酸味のバランスがよく、信州リンゴは甘味が強いとか。長野県は夏の平均気温が高く日照時間が長いため、蜜が多く入って甘みの強いリンゴが生産されるといわれます。
リンゴ栽培の歴史
長野県でリンゴが栽培されるようになったのは、明治7年。国による農業発展の政策により、苗木が配布されたことが発端です。その後、明治30年ごろから大正末期にかけて県内各地に伝わり、それまで主力産業だった養蚕の衰退とともに、リンゴ栽培に転換されていきました。現在は、県内のほぼ全域で栽培され、県内の果物で、最も栽培面積と生産量が多い作物です。特に南信は飯田市、中信は安曇野市、松本市、北信は長野市や須坂市、山ノ内町、飯綱町がリンゴの里として知られています。
りんご三兄弟®️といわれ人気の「秋映(あきばえ)」「シナノゴールド」「シナノスイート」は、長野県で生まれた品種です。
秋映
シナノゴールド
シナノスイート
秋映は千秋とつがるの掛け合わせで、深くて濃い赤色をした皮が特徴。酸味と甘味のバランスがよく、歯応えはしっかりしています。シナノゴールドは、千秋とゴールデンデリシャスが掛け合わされた黄色いリンゴ。ほかのリンゴにはないサクッとした歯応えが人気です。シナノスイートは、ふじとつがるから生まれました。果肉がやわらかく、その名の通り甘いリンゴです。ほかに、長野県で生まれた新品種は、シナノピッコロ、シナノプッチ、シナノドルチェ、シナノリップなどがあります。
飯綱町のリンゴ
さて、長野県の中でも、飯綱町のリンゴはどんな特徴があるのでしょう。
長野県は南北に長く、端と端は直線距離で約200Km。その北の端に飯綱町はあります。
春は北信五岳の山々を背景にリンゴの白い花が咲き誇り、町のキャラクターはリンゴの妖精「みつどん」と、町全体でリンゴの里・いいづなを盛り立てています。11月には、ふじリンゴ祭りが開催され、いいづなのリンゴを求めて県内はもちろん、新潟県や富山県などからも大勢のお客さんが訪れ、コンテナごと買い上げるほどの人気です。飯綱町は、三水村と牟礼村が合併してできた町で、三水村は高級リンゴの名産地として名を馳せていました。もちろん牟礼村も、標高の高さを生かしたリンゴづくりが盛んで、飯綱町となった現在は、双方が切磋琢磨し、市場の仲買人からは、いいづなリンゴは質がいいと一目置かれているそうです。
飯綱町PRキャラクター「みつどん」
みつどんは、りんごの妖精。顔の星形は「ふじ」の蜜をイメージしています。
性格は自然を大切にし助け合い、思いやりの心をもっていて常に学び、仕事に励み、心とからだを鍛える、控えめだけど働き者です。
命名者いわく、飯綱町の人口密度がどーんと上がるように、蜜がどーんとたっぷり入ったりんごにちなんで名付けたそうです。
飯綱町には、みつどんファンが多く、『みつどんファンクラブ』もあるほど。