「雪ねむりりんご」は飯綱町の雪を活用して貯蔵するから春まで楽しめる

「雪ねむりりんご」は飯綱町の雪を活用して貯蔵するから春まで楽しめる

毎年8月中旬頃から早生種のりんごの収穫がはじまる飯綱町。

4か月にもわたって旬のりんごを楽しむことができるのは、りんごの町ならでは。
とはいえ、やはり最盛期は11月中旬~下旬のサンふじの収穫期です。

サンふじは、その甘味と酸味のバランスや歯ごたえの良さから、不動の人気を誇ります。
なんといってもほかの果物にはないその保存性の高さも人気の理由の一つで、贈答用としても重宝されています。

ただ、そんなサンふじも、手に入れられるのは通常3月下旬頃までが限界です。

飯綱町のりんごをできるだけ長く、おいしく楽しみたい…そんな飯綱町産りんごのファンの気持ちに応えてくれるのが、この「雪ねむりりんご」です。


鮮度もおいしさも貯蔵してくれる天然の冷蔵庫「雪室」

横手農産物直売所「四季菜」の雪室施設


雪室内に設置されている温度・湿度計

「雪ねむりりんご」は、横手農産物直売所「四季菜」の雪室(ゆきむろ)で保存された特別なりんごです。

雪室は、その名の通り、雪を利用した天然の冷蔵庫。
日本の雪国では、食品保存技術の一つとして古くから利用されてきました。

四季菜の雪室は、建物の向かって左側半分の空間いっぱいに雪が入れられており、残った右側半分の空間にりんごやそばなどが貯蔵されています。

中を見せていただいた2024年3月22日の外気温は、最高5.8℃、最低-4.9℃(長野市/日本気象協会HPより参照)でしたが、雪室内の温度は約1℃、湿度は70%を超えていました(午前11時時点)。

雪室に貯蔵されたりんごをはじめとする果物やそばは、食物が凍るギリギリの温度で保存されることで、いわゆる冬眠状態となり、温度変化によるストレスを受けにくくなります。

また、低温・高湿度により、みずみずしさを保ちながら、自らのデンプンを糖に変える「低温糖化」で身を守ろうとするため、糖度が上がり、甘みが強くなります。
ずばり、通常の冷蔵庫よりも雪室で貯蔵するほうが、鮮度もおいしさも保たれるというわけなんです。


りんごの向こう側に見えているのが雪


 

環境にもやさしい

雪室の雪は、毎年、駐車場に自然に降り積もったものを利用しています。

雪室に利用するのは、スキー場でありがたがられるパウダースノーではなく、2月頃までに降った雪を駐車場の隅にあえて集めておくことで、日中に溶けて、夜に再び凍るというサイクルを繰り返し、密度が高まったいわゆる「根雪(ねゆき)」。

根雪は日持ちが良く、8月上旬頃まで雪室を稼働させることができるそうです。

しかも雪室を稼働させるために必要なのは、この根雪以外はファンを少し回すくらいで、エネルギーがほとんどいりません。
つまり、環境にやさしく、かつ経済的なんです。

こうして雪室で貯蔵された「雪ねむりりんご」は、3月下旬以降に店頭に並び、6月頃まで楽しめます。
これまで、完全にりんごのオフシーズンだった時期にりんごを食べることが叶うというわけです。


甘みが増し、歯ごたえ十分


「雪ねむりりんご」のグラニー・スミスを試食させてもらいました。
グラニー・スミスは通常、11月中旬~下旬に、サンふじやシナノゴールドとともに店頭に並びます。

鮮やかな緑色が特徴的な、サクサクとした食感と少し強めながらも爽やかな酸味ジューシーさを併せ持つオーストラリア原産の青りんごで、我が家でも人気の品種です。

雪室で冬眠していたグラニー・スミスは、採れたてのものよりも酸味が抑えられ、甘さがやや増しているように感じました。
歯ごたえも十分で、「こんなグラニー・スミスもいいな!」というのが正直な感想です。

“りんご”と“雪”。
飯綱町のポテンシャルを存分に生かした「雪ねむりりんご」。
りんごが雪室で眠っているマークを見つけたら、ぜひお試しください。
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