果実の栄養を生かした健康ジュース
50種類以上のりんご品種を栽培する飯綱町ですが、その原点ともいえる古品種があります。
その名は「高坂林檎」。
実はこのりんご、ポリフェノールの一種である「プロシアニジン」を豊富に含んでいることがわかりました。
この結果を踏まえ商品化を進めることになり、2023年2月、高坂林檎のブレンドジュース2種が720mlボトルで商品化されました。
さらに、同年夏に収穫したヴィンテージで、飲みきりサイズの230mlボトルも新たに登場。
お土産やお取り寄せに人気の逸品となっています。
「高坂林檎」とは、古くから現在の飯綱町高坂地区のエリアで栽培されていたといわれる和りんご。
その実は4〜5cmほどと小さく、渋みと酸味が強いのが特徴で、食用というよりは飾りだったようです。
収穫期は8月で、江戸時代には善光寺門前でお盆のお供え物や信濃名物として売られていたそう。
明治時代にアメリカから輸入された西洋りんごの「ふじ」や「紅玉」の普及により、一度は絶滅の危機にさらされた高坂林檎ですが、町内の農家有志による保存の働きかけにより、2本の原木が飯綱町の天然記念物に指定されました。
高坂りんごのポリフェノールがすごかった!
2020年、町の委託により、長野県工業技術総合センターで飯綱町産りんごの成分分析が行われ、調査結果が出ました。
その中で明らかになったのは、高坂林檎におけるプロシアニジン(ポリフェノールの一種)の驚きの含有量。
飯綱町産ふじが30〜40ml/100gだったのに対し、高坂林檎は約400ml/100gと、10倍以上の量のプロシアニジンを含んでいることが分かりました。
プロシアニジンはりんごに含まれるポリフェノールの約6割を占めており、ほかの食品に含まれるポリフェノールと比較して強い抗酸化力があることが、国立研究開発法人農業・食品技術総合研究機構(農研機構)などの研究によりわかっています。
また、1日110mgのプロシアニジンの摂取は内臓脂肪を減らす機能があるという研究結果も農研機構より発表されています。
「長野県工業技術総合センターで高坂林檎の機能性成分を分析していただいた結果、プロシアニジンが豊富に含まれているということが分かり、ジュースに加工するプロジェクトが立ち上がりました。けれど高坂林檎100%だと、渋みが強すぎて商品化できません。そこで考えたのは、町内で栽培されているほかのりんごとのブレンドです」
そう話すのは、飯綱町農政課の原田愛さん。
先述した通り、飯綱町ではおよそ50種類ものりんごが栽培されており、長野県立大学と共同でブレンドするりんごの品種や比率を検討しました。
さらに課内で試飲を重ねた結果、選ばれたのは「夏あかり」と「シナノドルチェ」の2種類でした。
「収穫してすぐの新鮮な状態で搾汁し、商品化したかったので、高坂林檎と同じ収穫期の品種のなかから、ブレンドして美味しかったこちらの2種を選びました」(原田さん)
早生種の高坂林檎でも収穫期を合わせられる他品種があるところが、まさにりんごの町・飯綱町ですね!
試飲したところ、「夏あかりブレンド」はとろりとして濃厚かつ甘く、甘いりんごが好きな人におすすめの味。
「シナノドルチェブレンド」は、甘さの中にもわずかな酸味が感じられ、スッキリした味わい。
どちらも高坂りんごの渋みは感じられず、美味しさを共有したい大切な人に飲んでほしくなる味です。
6人で試飲しましたが、一口目に「うまっ!」と声が出るくらい感動する味でした。
目指すは機能性表示食品の登録
「実は、この『高坂林檎ジュース』で機能性表示食品の登録を目指しています。そのためには、1瓶のプロシアニジンの含有量が110mgを超えなければなりません。高坂林檎の比率を上げると渋みが強くなり、他品種の比率を上げると今度はプロシアニジンが減ってしまうので、ちょうどいいバランスを見つけるのが大変でした」(原田さん)
試行錯誤を重ね、品種ごとに美味しさが最大値になるブレンドにたどり着き、「高坂林檎 夏あかりブレンド」と「高坂林檎 シナノドルチェブレンド」が発売となりました。
「飯綱町にしかない、オリジナル品種のジュースです。お子さんから年配の方まで美味しく飲んでいただけると思います!」と、原田さん。
「高坂林檎ジュース」は町内の直売所で発売しているほか、「みつどんマルシェ」でお取り寄せも可能です。
季節を問わずに買えて、お土産やプレゼント、差し入れにもちょうどいいサイズ。
健康が気になる方にもおすすめです。